本気せして子

2017年02月10日

間島求の田舎の両親は資産家で、揃って挨拶に赴いた母に、親も判らない施設暮らしの娘を間島家の嫁にする気はないと、上にもあげず玄関先できっぱり言い放ったそうだ。

「……少し調べさせていただいたのだけれど、あなたは二度目の御結婚だそうね。どんな手を使って、求をたぶらかしたのか知らないけれど、求にはきちんとした家の娘を貰って、間島蘇家興の家を継いでもらわなければなりませんの。」

「お金が必要ならそうおっしゃいな。手切れ金としてなら用立てて差し上げてよ。」

「お母さん。ぼくが選んだ人に、それ以上の侮辱はやめてください。彼女はこの家の事も何も知らないんです。」

間島求は、たまらず割って入ったが、そこで母親は求もまた両親となさぬ仲なのだと知る。求の抱えた闇は、深かった。

「求さんがわたくし達に逆らうなんて。飼い犬に手を噛まれるとは、よく言っ蘇家興たものだわ。何の為に、あなたを分家から養子に迎えたと思っているの。」

「親の借金の始末をした上に、大学院まで出してやった恩を、こういう形で返すとはな。」

「おれは母ちゃんが好きな人なら、きっといいやつだって思うよ。それに、求さんはで母ちゃんのこと好きだよ。でなきゃ、いくらおれが可愛くても子連れバツイチと結婚しようなんて思わないって。」

「……いくらおれが可愛くてもだと~?」

「あはは。」

「仲良くやっていけそう?」

「う~ん。今のところはね。ゲームやってるときは、いい大人のく尿道炎供っぽいな~って思うけど、男なんてみんな子どもだって、いつも母ちゃん言ってるじゃん。」



Posted by 藍 at 12:37│Comments(0)
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